麻丘めぐみさん Ⅲ
1970年代を象徴するアイドル歌手。チャーミングな容貌、お姫様カットの長い黒髪、抜群のスタイル、潤いを帯びた歌声で70年代を席巻。
前回よりの続き。
アルバム「さわやか」セカンドシングル「悲しみよこんにちは」
めぐみさんの歌唱力が本物であることを証明したのが、デビューから2ヵ月後の8月5日に発売されたファーストアルバムの「さわやか」です。(今回発売された『Premium BOX 〜オリジナル・アルバム・コレクション〜』では「さわやか+11」となり1973年11月25日発売された「ベストコレクション74」に収録されている未CD化曲やカラオケが11曲ボーナストラックとして収録されています)
「芽ばえ」を含むオリジナル6曲、洋楽2曲、筒美京平作曲のカバー4曲の12曲が収録されています。レコーディングされたのはデビュー前だと思います。オリジナル6曲は千家・筒美作品で、全曲の編曲を高田弘さんが担当しています。
ここに収録された曲は「芽ばえ」以外、それほど強いエコーはかけられていません。曲によっては生声に近いものもあり、それだけ歌唱力がよくわかります。
この「さわやか」を聞いていると、めぐみさんの歌唱力、表現力が本物であり、その素晴らしさがよくわかります。この「さわやか」30数年ぶりに聴きました。その中の1曲、「おかあさん」はとても印象深い曲です。久しぶりに聞いた「おかあさん」。今は、旅立ちをしてしまった母を思い出し、胸が熱くなり、しばらく涙が止まりませんでした。
この「おかあさん」という楽曲は、本物の歌唱力がないと歌いきることの出来ない歌ですが、めぐみさんはとても上手に歌っています。そして、もうひとつはサウンドです。ストリングスがとても綺麗で素晴らしく、高田弘さんのアレンジの特徴がよく出ています。私はこのストリングスに重点をおいたアレンジが大好きです。管楽器に重点をおいたアレンジに比べるとインパクトに欠ける点はありますが、流れるようなストリングスは聴いていてとても心地よいものです。
「さわやか」には「さよならのブルース」「ふたたび愛を」「希望の旅」などチョット大人びた歌もカバーされ収録されていて、16歳の少女が歌う大人の歌も聴き所です。
また、今回ボーナストラックとして収録された「キッス・ミー」、曲名とは裏腹に、チョットだけ演歌の匂いがする歌謡曲といった雰囲気のする曲ですが、歌詞、メロディーとも私のお気に入りです。16歳の少女が歌う、大人の愛の歌です。
このころにはめぐみさんの人気は、すさまじいものがありました。ただ、この人気はめぐみさんに災難ももたらしました。当時の男性アイドルの熱烈な女性フアンによる嫌がらせです。フォーリーブスや新御三家(西城秀樹、郷ひろみ、野口五郎)の女性フアンからしたら、憎っくき強敵。対談写真や記事が掲載されただけで大変でした。髪にガムをつけられたりと嫌がらせには事欠きません。
10月5日にはセカンドシングル「悲しみよこんにちは」(作詞千家和也、作曲筒美京平、編曲高田 弘)がリリースされます。
この楽曲はスローテンポでキーも高く、めぐみさんも手こずった曲だそうです。ディレクターにチョット早くしたいと言ったところ、即却下されたそうです。この曲もヒットし、オリコン6位を記録しています。
YouTube 「悲しみよこんにちは 」
http://www.youtube.com/watch?v=1QNXx5fsqWU
リズミカルな曲は歌がチョッと下手でも、勢いに乗って歌ってしまう事ができるのですが、スローテンポの曲はそうはいきません。歌の上手い、下手がもろに出てしまうのです。
「悲しみよこんにちは」を聞くと、めぐみさんの歌唱力の素晴らしさが良くわかります。
(次回に続く) (敬称略)
参考資料、麻丘めぐみ応援会HP、めぐカコさんのブログ「麻丘めぐみアルバム」、Premium BOX ライナーノーツ、他